○豊岡市中小企業振興基本条例
令和4年3月25日
条例第13号
市内事業者の9割以上を占める中小企業は、地域経済の活力と雇用を創出することにより多くの市民の暮らしを支え、地域社会の活性化や産業を通じた文化形成に寄与するなど、市民生活の向上に重要な役割を果たしてきました。
そのような中、令和2年に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックが国内外の社会経済活動に大きな影響を及ぼし、本市経済も深刻な打撃を受け、市民の暮らしが脅かされ、地域の活力をも奪われる状況に直面しました。
しかし、市内事業者自らの努力はもとより、市、地域経済団体、金融機関等が相互に連携を深めつつ様々な対策を展開し、市民も域内消費喚起策の応援の輪に加わることで地域経済を支え、まちぐるみで危機的状況に立ち向かいました。
この経験を通じ、私たちは、中小企業の振興がまちの最重要課題の一つであることを再認識し、それぞれの主体は経済を介した運命共同体であり、そのパートナーシップがいかに大切かということを改めて心に刻みました。
私たちは、たとえ今後まちの経済に様々な課題が待ち受けているとしても、地域経済の基盤を成す中小企業の振興を通じて地域の活力を高め、市民生活の向上を図っていくこと、そのために市と関係者が一体となった取組を将来にわたって継続していくことを決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業の振興に関する基本理念を定め、市及び関係者の役割を明らかにすることにより、中小企業の振興を図り、地域経済の活性化及び雇用の創出を促進し、もって市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者等 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者又は同条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 大企業者 中小企業者等以外の者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 地域経済団体 豊岡商工会議所、豊岡市商工会その他市内において地域経済の振興に関する活動を行う団体をいう。
(4) 金融機関等 銀行、信用金庫その他金融の業務を行う者又は信用保証協会であって、市内に事務所を有するものをいう。
(5) 大学等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第16条第1項に規定する職業能力開発校その他教育機関であって、市内に所在するものをいう。
(6) 市民 市内に住所を有する者又は市内で働く者若しくは学ぶ者をいう。
(基本理念)
第3条 中小企業の振興は、中小企業者等の経営の向上に対する自主的な努力及び創意工夫を促進することを基本として推進されなければならない。
2 中小企業の振興は、市及び関係者がそれぞれの役割を果たしつつ連携し、一体となって推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、中小企業者等の実態を把握し、国、兵庫県及び関係者との連携を図り、中小企業の振興に関する施策を総合的に実施する責務を有する。
2 市は、中小企業の振興に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
(中小企業者等の役割)
第5条 中小企業者等は、自主的な努力及び創意工夫により経営の向上に努めるとともに、自らが地域社会の構成員であることを認識し、地域経済団体に加入するよう努めるものとする。
2 中小企業者等は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第6条 大企業者は、自らの事業活動における中小企業者等の重要性について理解を深めるとともに、自らが地域社会の構成員であることを認識し、中小企業者等との連携及び協力並びに地域経済団体に加入するよう努めるものとする。
2 大企業者は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(地域経済団体の役割)
第7条 地域経済団体は、中小企業者等が経営の向上を図る取組に対し支援するよう努めるとともに、自らの組織基盤を強化するため中小企業者等及び大企業者の加入を促進し、地域経済団体相互に連携するよう努めるものとする。
2 地域経済団体は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(金融機関等の役割)
第8条 金融機関等は、中小企業者等の資金需要に係る適切な対応のほか、事業活動に有用な情報の提供その他の方法により、中小企業者等が経営の向上を図る取組に対し協力するよう努めるものとする。
2 金融機関等は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大学等の役割)
第9条 大学等は、中小企業者等の研究開発、技術向上及び人材育成の取組に対し協力するよう努めるものとする。
2 大学等は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の理解及び協力)
第10条 市民は、中小企業の振興が市民生活の維持及び向上並びに地域の活性化に寄与していることを理解し、中小企業者等の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
2 市民は、市が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市の施策の基本方針)
第11条 市は、次に掲げる基本方針により中小企業の振興に関する施策を講ずるものとする。
(1) 多様な人材及び技術並びに特色ある地域資源の活用並びに事業の高度化、資金調達の円滑化等により、中小企業者等に応じた経営基盤の強化及び成長を促進すること。
(2) 関係者相互の連携により、創業及び事業承継の支援、技術の向上並びに人材の育成に関する支援を促進すること。
(3) 中小企業者等の受注機会の確保又は地産地消の取組により、域内における需要の創出及び経済の循環を促進すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、中小企業の振興に関すること。
(委任)
第12条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。
(豊岡市商業者等によるまちづくり推進条例の廃止)
2 豊岡市商業者等によるまちづくり推進条例(平成28年豊岡市条例第20号)は、廃止する。