○豊岡市コウノトリと共に生きるまちづくりのための環境基本条例

平成18年12月26日

条例第65号

私たちのまち豊岡は、神鍋高原、来日岳、床尾山などの緑あふれる山、円山川、竹野川などの豊かな川、竹野浜、気比の浜などの美しい海岸といったすばらしい自然に恵まれている。

自然は時には姿を変えて災害を引き起こし、人々を苦しめるが、私たちは自然と折り合いをつけながら、農業、林業や漁業を営み、かつ、柳行李やちりめんをはじめとする産業を興し、暮らしを築き上げてきた。

また、そのような自然・文化環境の中で、多様な動植物に支えられ、食物連鎖の頂点に立つコウノトリやオオサンショウウオも、悠然と暮らしていた。

しかし、高度経済成長に伴う環境破壊、生活様式の変化などにより、山は荒れ、川は汚れ、生きものは数を減らし、豊岡を日本で最後の生息地としていたコウノトリも、昭和46年に空から姿を消してしまった。

コウノトリは、長く粘り強い取組みによってよみがえり、平成17年に最初の5羽が再び豊岡の空にはばたいた。絶滅と復活の歴史に接してきた私たちは、この取組みによって、多くのことを知った。そして、人とコウノトリが共に生きることができる環境、つまりコウノトリの生息を支える豊かな自然とコウノトリを暮らしの中に受け入れる文化こそが、人にとってすばらしい環境であるとの確信を得るに至ったのである。

私たちは、コウノトリの野生復帰をシンボルとしてすばらしい環境を広げ、将来の世代につないでいくことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、コウノトリと共に生きるまちづくりを進めるに当たり、環境の保全について基本理念及び施策の基本となる事項を定めることにより、これに基づく施策の推進を図り、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境の保全」とは、良好な環境を保存し、再生し、及び創造することをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 豊岡に住み、及び豊岡を訪れるすべての者が当たり前のこととして、人とコウノトリが共に生きるまちにふさわしい行動をとること。

(2) 良好な環境は先人から受け継いだものであることを認識し、次の世代に引き継ぐこと。

(3) 地域ごとに異なる環境に応じ、地域の個性を生かして取り組むこと。

(市民等の取組み)

第4条 市民、事業者、来訪者及び市は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、自主的に、及び地域等において相互に協力し、それぞれができることに取り組むものとする。

(施策の基本方針)

第5条 市は、環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たり、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本方針として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 自然的資源、文化的資源及び歴史的資源に関する理解を深めることにより、それらを良好な状態で保全すること。

(2) 良好な自然環境を保存、再生及び創造することにより、人と生きものが将来にわたってバランスよく共生するまちづくりを推進すること。

(3) 市民、事業者及び市が連携して資源の無駄遣いをなくし、循環型のまちづくりを推進すること。

(4) 子どもたちに環境の大切さを伝えるとともに、市民及び事業者の環境に関する意識を高めることにより、環境にやさしい人づくりを推進すること。

(5) 環境の保全に関する活動と経済活動の共鳴を図ることにより、環境の保全に関する活動を持続的に推進すること。

(6) 前各号に掲げる事項その他環境の保全のために必要な事項を推進することにより、地球環境の保全に貢献すること。

(環境基本計画)

第6条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する長期的な目標及び施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、豊岡市環境審議会の意見を聴くとともに、市民及び事業者の意見を反映するよう努めるものとする。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

6 市長は、第2項第1号の目標を設定したときは、毎年度、その達成状況を評価するものとする。

(行動指針の策定)

第7条 市長は、環境基本計画に基づき、市民、事業者及び市が環境の保全に取り組むための指針を策定し、その普及及び啓発に努めるとともに、これに基づく行動を推進するものとする。

2 前条第3項及び第4項の規定は、前項の指針の策定及び変更について準用する。

(市民等の意見の反映)

第8条 市長は、環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たり、市民及び事業者の意見を反映するよう努めるものとする。

(市民等の自主的な活動の支援)

第9条 市は、市民及び事業者の環境の保全に資する自主的な活動を促進するため、必要な支援の措置を講ずるものとする。

(市の環境への配慮等)

第10条 市は、その事務を進めるに当たり、基本理念に照らし環境の保全に適正に配慮し、及び率先して行動しなければならない。

2 市長は、市の実施する事務が環境の保全に資するものとなるよう、適切な措置を講ずるものとする。

(情報の収集)

第11条 市は、環境の状況その他の環境の保全に関する情報の収集に努めるものとする。

(情報の公表)

第12条 市長は、毎年度、次に掲げる事項を豊岡市環境審議会の意見を付して公表しなければならない。

(1) 環境の状況

(2) 第6条第2項第1号の目標の達成状況及びその評価

(3) 市民、事業者及び市が環境の保全について取り組んだ内容及びその成果

(4) 環境の保全に関する市民及び事業者の意見並びにその施策への反映状況

(5) その他環境の保全に関し市長が必要と認める事項

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全に資するため、個人及び団体の利益及び権利の保護に配慮しつつ、環境に関する情報を公表しなければならない。

3 市は、環境に関する情報を公表するときは、その情報が市民及び事業者にとって理解しやすいものとなるよう、努めなければならない。

(規制等の措置)

第13条 市長は、環境の保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市長は、環境の保全を推進するため、指導、助言その他の適切な措置を講ずるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力等)

第14条 市は、環境の保全のために必要があると認めるときは、国及び他の地方公共団体と協力して、環境の保全に関する施策を推進するものとする。

2 市は、環境の保全のために必要があると認めるときは、国及び他の地方公共団体に意見を述べるものとする。

(環境審議会)

第15条 環境の保全に関し、基本的事項を調査審議するため、豊岡市環境審議会を置く。

2 豊岡市環境審議会の所掌事務、組織、運営その他必要な事項については、別に条例で定めるところによる。

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(適用)

2 第6条第6項及び第12条第1項の規定は、それらの規定に定める平成19年度に係る事項から適用する。

(城崎町環境保全基本条例等の廃止)

3 次に掲げる条例は、廃止する。

(1) 城崎町環境保全基本条例(昭和49年城崎町条例第35号)

(2) コウノトリと共に生きるまちづくりのための環境基本条例(平成14年豊岡市条例第13号)

(豊岡市環境審議会条例の一部改正)

4 豊岡市環境審議会条例(平成18年豊岡市条例第42号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

豊岡市コウノトリと共に生きるまちづくりのための環境基本条例

平成18年12月26日 条例第65号

(平成19年4月1日施行)